72年目の夏/広島平和記念公園の一日



 2017年8月6日、72回目の広島原爆の日。灯籠流しへと向かう平和記念公園内を大きくを蛇行しながら約1時間強はかかる川岸までの列も、年々オペレーションが進化しスムースになってきた。世界中の人が並ぶこんなにも秩序だった行列はあるのだろうか。数歩進んではまた停止を繰り返す中、普段考えないことが頭を巡っていく、必要な時間だ。思い思いのメッセージを書き込んだ色紙を、岸壁に控えるボランティアさんが、用意してある灯籠の骨組みに巻きつけてくれて組み立て完了。言葉を託され、蝋燭が灯ると、灯籠に生命が宿る。しかし儚くも、手にしてから2、30秒後には川面に浮かばせて下流へと遠ざかって行く。


 川岸は石の階段になっていて水位ギリギリまで近づけるのだが、両手は灯籠で塞がり、しゃがみこみ、揺れる水面と咲散る灯籠にも目を奪われ、足元は不安だ。この写真には写っていないが、灯籠を流すその辺りには、胸まで水中に浸かったライフセーバーさんが配置されていて、私達を見守る。 思いを乗せた灯籠は束の間の川下りの後、環境面への配慮から回収されるそうだ。


 投下時刻午前八時十五分に合わせて行われた慰霊祭の後、満々と水をたたえる元安川を眼下にする原爆ドーム。 原爆の子の像、この周りには全国から寄せられた無数の折り鶴が吊るされている。世界中の人が花を手向ける。祈りのかたちは自由。

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