私を最後にするために

最終更新: 2019年7月5日



『私を最後にするために/The Last Girl/ナディア・ムラド著/吉井智津訳/Toyokan Books』

イラク北部コーチョ村の一人の村娘として、少数派宗教ヤズディ教徒として、平和に暮らしていたところに、ISISの魔の手が伸び、家族や友人特に男性の多くが殺され、若い女性は性奴隷にされ、宗教まで奪われたこの世の地獄から、心ある僅かな人達の助けを借り、薄氷を踏む思いで国外脱出し、活動家としてスタートするまでが書かれている。自身も言うとおり細くて小柄な彼女だが、囚われの身となっても、主張するところはし、可能な限り譲らなかった。そのように元々強く誇り高き人だからこそ、国連親善大使〜ノーベル平和賞を受賞するまで至る力があったのだろう。エピローグに「難民を一切受け入れない決断をした国もあり、それに対して私は憤りを感じている。」と耳が痛い言葉もある。このブログで先にご紹介した<ドキュメンタリー映画『ナディアの誓い/On Her Shoulders』アレクサンドリア・ボンバッハ監督/2018/アメリカ>の内容の前段となる一冊。映画の終盤、破壊し尽くされた故郷を歩くシーンがある。護衛の兵士に両脇を支えられ、廃墟となって誰もいない街を目の当たりに、泣き崩れ自分の足で立てないナディア。たった2秒ほどのこのカットが総てを物語っている。



『余白の春・金子文子/瀬戸内寂聴著/岩波現代文庫』

現在まだまだ公開中の映画『金子文子と朴烈(パクヨル)/イ・ジュンイク監督/2017/韓国』、書籍『何が私をこうさせたかー獄中手記/金子文子著/岩波文庫』も前記事でご紹介したところだが、余白の春における瀬戸内寂聴氏の圧倒的な洞察力、想像力、取材力によって”何が金子文子をこうさせたか”が分かってきた。文子も細身で小柄ながら家族の執拗な虐げにも耐えた体力があった。そして絶望の中でも衰えない向学心があった。貧困多忙のため望む修学は果たせなかったが、知識の豊富さと頭の回転の良さは天才だったともある。日本人が朝鮮人に対してしてきた仕業、その歴史にも多く触れられている。



ラジオで聞いた、2019マンガ大賞の候補13作品のなかのお奨め3作を買ってみた。ここではその内の2つ。私は鉄腕アトムのリアルタイム世代。それから何十年も読まなかったが、こうの史代さんの”この世界の片隅に”辺りをきっかけに、時折手に取っては日本のマンガのクォリティに驚かされる。そしてそれはやはり手塚治虫に繋がって行く。

『彼方のアストラ/篠原健太著/Jump Comics』

『ミステリと言う勿れ/田村由美著/フラワーコミックスアルファ』

結果、この2作品は大賞1位と2位に輝いた。


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